マンガスクール・はまのマンガ倶楽部

技法としてのパース~基本編その1~

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パースとは何か

パースとはパースペクティブの略で、遠近法または透視図法と言われるものです。

2D(2次元)である平面(絵画、写真、マンガ、映画など)

3D(3次元)的な奥行き(立体感など)を表現するための技法です。

 

*カットは全て、はまのらまの作画です


マンガ初心者にはパースさえわかれば背景が描けると勘違いしている人が多いです

 

はっきり言いますが、パースは技法だけ覚えても本当の意味では使えません

実際、消失点を作って補助線を引くという、いわゆる「パース技法」だけ覚えて

それで背景が描けると思い込み、ひどい作画をしている初心者はとても多いです。

 

パースの本当の意味は、技法ではなく、画面演出(特にアイレベルが重要な要素とした)なのだ

という理解がければ、実際に作品に生かすことはできません。

 

そこでここでは、本当の意味でパースを理解してもらうために

画面演出も含めて、パース技法を伝えていきましょう。


パース技法とは「奥行き方向を『消失点』に向かって収束させることで、立体的な奥行き感を出す」作画法

 果てしなく、ずっと真っ直ぐにどこまでも並んで走る線路
果てしなく、ずっと真っ直ぐにどこまでも並んで走る線路

 

地平線に向かって同じ方向に真っ直ぐに進む、

何本かの電車の線路をイメージして下さい。

 

その線路は平行に並んでいて、

実際にはどこまで行っても交わらないはずです。


見かけ上は、どの線路も同じ1点に向かって進んでいるように見える
見かけ上は、どの線路も同じ1点に向かって進んでいるように見える

 

ところが見かけ上は、地平線かなたの1点に向かって

真っすぐに進んでいるように見えるはずです。

この点を「消失点」と呼びます。

 

線路を進行方向(奥行方向)のずっと先の、消失点という

1点に向かって収束(1点に集中させること)させる

ことで、線路がずっと遠くまで続いて行く感じの、

奥行き感が生まれていることが実感できると思います。


   

つまりパースとは

「『奥行方向を消失点に収束させる』ことで奥行き感を出す」

という作画法なのです。

(以降の説明では消失点はVで表します。Vは「Vanishing Point

(消失する点)」の略です)

  

*「奥行き」には3つの方向がある*

 

それは3Dの3つの要素でもある「横方向」「縦方向」「高さ方向」です。

この3つのどの方向に向かって奥行き感を表現したいのか(消失点を作って収束させるのか)』によって

パース技法の種類が異なります。

 

パース技法の種類ですが、基本的には次の4つです。

 

基本的な4種類のパース技法

1点パース

「縦方向」の1方向の奥行きに対して、消失点を持たせ収束させる。

つまり消失点Vは1つ

2点パース

「縦方向」「横方向」の2方向の奥行きに対して、消失点を持たせ収束させる。

つまり消失点Vは2つ

3点パース

「縦方向」「横方向」「高さ方向」の3つの奥行きに対して、消失点を持たせ収束させる。

つまり消失点は3つ

0点パース

 3つのいずれの方向の奥行に対しても、消失点を持たない。

つまり消失点は0

 

では、それぞれのパース技法の作画の方法を説明しましょう。

 

ただその前に、ここでは

まずそれぞれのパースがどのように見え方になるのかを確認してもらいます。

パースとは、本当は画面演出(描き手として、その絵がどこから見た絵にしたいのか考えること)

こそが重要なのだということを理解する必要があるからです。 


パースとは、どのように見えている「絵」のことなのかを理解する(1)

 3Dのグリッド線は、「縦」「横」「高さ」で構成されている
3Dのグリッド線は、「縦」「横」「高さ」で構成されている

 

3Dを表すのにグリッド線をよく使いますよね。

3Dのグリッド線は「縦」「横」「高さ」の3方向で

 構成されています。


縦×横×高さで構成される箱型の形
縦×横×高さで構成される箱型の形

 

「縦」「横」「高さ」で構成されている一番単純な形は箱型です。 

 

そこで四角い箱を使ってパースを説明していきます。


 

この箱の「内側」にいるの場合と「外側」にいる場合の2パターンの場合で、パースではどのように見えるのかを確認してもらいます。

 

そこで「立方体」(すべての面が正方形のサイコロのような6面体)の箱とグリッド線の入った「箱状の部屋」の2つを用意しました。


フレーム(枠)から覗くというイメージを持つ
フレーム(枠)から覗くというイメージを持つ

 

あなたはこの2パターンの箱を、額縁のような「長方形の枠」から覗くとイメージして下さい。この長方形の枠はフレーム(画面)です。

 

フレームとは見ているものを四角い画面に切り取るためのものです。マンガで言うコマ、映画で言うスクリーン、絵画で言う額縁・・・そのようなものです。 


 

ではまず1点パースの見え方と、その考え方を理解しましょう。

 

まずは立方体の箱を外側から見る場合。

あなたは立方体のどれか一つの面に真っ直ぐ向き合うように立ちます。この場合、奥行き方向は「縦方向」のみになることを確認して下さい。

その状態でフレームから箱を覗くと、立方体は図のように見えます。


 

 今度は箱(部屋)の中から(箱を内側から)見る場合。

正面の壁の真正面と向き合うように立ちます。

この場合も、奥行き方向は「縦方向」のみですね。  

 

その状態でフレームから壁を見ると、部屋は図のように見えます。

 

 


 

これが1点パースの見え方です。

 

1点パースでは「縦方向」の奥行き方向のみが消失点V1に収束され

奥行きではない「横方向」「高さ方向」は全て平行線になります。 

 

 

また、その消失点Vは必ずアイレベル(Eye Level)上にあると覚えてください。

   

 さて、ここで「アイレベル」という耳慣れない言葉が出てきましたね。

パースにとってアイレベルは一番大事なものです。

なのでここで途中ですが、アイレベルについてちゃんと説明したいと思います。

 


アイレベルとは「目の高さ」!パース技法の肝、アイレベルを理解する

パースにとってアイレベルというのは重要で、かつ一番大事な要素です。

 

それをここできちんと、理解してください。

 

アイレベルとは、対象物に対して見ている側が、それをどの高さで見ているのかということです。

目で見ているときなら、それは目の高さであり、写真や映画ならカメラのレンズの高さです。

 

何故それが大事なのか 。それはその画面をどの高さから見ているのかで、画面の見え方が全く変わってしまうからです。

 

同じ場所にいても、しゃがんだり、台に乗ったりして目の高さが変われば見え方も違ってきますよね?

つまり目の高さ、アイレベルが決まらないと、画面もどんな風に見えるのか(または表現者としてその画面をどう見せたいのか)が決められないということになるのです。


 

先ほどの一点パースを例にとり、アイレベルの違いをわかりやすく説明しましょう 

先ほどから使っていたグリッド線の箱部屋の中で、立方体の箱を観察しているとイメージして下さい。

箱は観察者のちょうど目の高さに(説明上の都合で)浮いています。

この箱を、観察者の立ち位置は同じで目の高さだけを3パターン変えて観てみます。

 

A・普通に立って観る(目の高さ:標準~アイレベルA~

B・台に乗ってみる(目の高さ:高~アイレベルB~)

C・寝そべって観る(目の高さ:低~アイレベルC~)

 

 

ではそれぞれで、その見え方の違いを確認しましょう。

 

スライダーによってそれぞれ3パターンの見え方が確認できます。

 

同じ1点パースで同じ位置から見た画面ですがアイレベルが変われば、これだけ見え方が変わるということを確認して下さい。

(点線がアイレベルで✖は消失点。アイレベルAでは消失点は箱の向こう側に隠れている)

 

作画の観点から言えば、このことをきちんと知らなければちゃんとした画面を描くことはできない。意識して画面をイメージすることもできません。

だからこそ、パースにとってはアイレベルは最重要事項並みに大事なのです。 


 

パースには何よりまず、アイレベル(目の高さ)ありき

と強く覚えてください!

 

あと、次の2点をしっかり覚えておいて下さい。 

 

① アイレベルは基本的に水平の線で表す

② 一つの画面にはアイレベルは一つしか存在しない

 

 ②に関しては考えれば当たり前ですが、一つの画面をとらえているのは一対の目であり一台のカメラで、複数はあり得ません。 Aの高さから見た画面に、異なるBの高さから見た絵は絶対に入り込んできたりしないからです。  

また、ここまでの説明でも分かると思いますが、見上げたり、見下ろしたりすることではアイレベル(目の高さ)は変化しない(見上げたとたんに身長が伸びたりしませんよね?)ということもきちんと理解しておいてください。

 


パースとは、どのように見えている「絵」なのかを理解する(2)

 

それでは、先ほどの続きに戻りましょう。同じ対象物(立方体の箱と箱部屋)で

今度は2点パースについて考えます。

 

 *説明の絵ではアイレベルは「Eye Lebel」と表記しています 

 

今度は立方体の「一辺」に対して真っ直ぐ向き合います。

するとこの場合は、奥行き方向が「縦方向」と「横方向」の2つになることがわかります。 

 

この状態でフレームから立方体を見ると、図のような感じになります。

 

 


 

部屋の中から見る場合も、部屋の「辺」に当たる部分に真っ直ぐ向き合う状態でフレームから見ます。  

 

するとこれも「縦方向」「横方向」に奥行きが生じて、図のような感じに見えるはずです。


これが2点パースの見え方です。 

 

 

2点パースでは、縦方向と横方向の2つの方向が、奥行きとしてそれぞれの消失点に収束される
2点パースでは、縦方向と横方向の2つの方向が、奥行きとしてそれぞれの消失点に収束される
2点パースでは、縦方向と横方向の2つの方向が、奥行きとしてそれぞれの消失点に収束される
2点パースでは、縦方向と横方向の2つの方向が、奥行きとしてそれぞれの消失点に収束される

 

 2点パースでは縦方向、横方向の2つの方向に奥行きが生じるため、

その2つの方向がそれぞれの2つの消失点V1とV2に収束されていく

ただ奥行き方向ではない「高さ」の方向は、収束されず平行線で表されるのです。

 

また2つの消失点は必ず、水平のアイレベルの線上に存在します。

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 そして3点パース 

 

立方体を先ほどの位置から真上に浮いてもらいます。

目線(アイレベル)より上に立方体を浮かせ立方体の一つの角に対して向き合うようにします。 

 

すると見上げたことで高さ方向にも奥行きが生じますここで「縦」「横」「高さ」、3つの方向全てに奥行きが生じ、図のように見えるはずです。 

 

 

 


 

部屋の中の場合も、2点パースの位置から目線を上げて、天井の一つの角の部分を見上げているイメージ

してください。

(目線を上げたり見上げたりしても、目の高さは変わらないことはしっかり理解してください)  

 

すると図のように見えるはずです。


 

これが3点パースの見え方です  

 

 

3点パースでは、縦、横、高さの3つの全ての方向が、奥行きとしてそれぞれの消失点に収束される
3点パースでは、縦、横、高さの3つの全ての方向が、奥行きとしてそれぞれの消失点に収束される
3点パースでは、縦、横、高さの3つの全ての方向が、奥行きとしてそれぞれの消失点に収束される
3点パースでは、縦、横、高さの3つの全ての方向が、奥行きとしてそれぞれの消失点に収束される

 3点パースでは「縦方向」「横方向」「高さ方向」、3つ全ての方向に奥行きが生じるため

3つの方向それぞれの3つの消失点に収束されているのです。

 

ただ、縦方向の消失点V1と横方向の消失点V2は、2点パース同様アイレベル上にありますが

高さ方向の消失点V3のみアイレベル上にはなく、そのはるか上または下のどちらかに存在するのだと覚えてください。 

 

V3が上にある場合はいわゆるアオリ(下から見上げる絵)、

下にある場合はフカン(上から見下ろす絵)の絵になります。 

 

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0点パースについては、「技法としてのパース~基本編その2~」の中の

パース作画で説明をします。