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モノクロの漫画やイラストを製作するのに、便利なのが
模様や柄の印刷された特殊な薄いフィルムである「トーン」と呼ばれる画材です。
これを使うことで、作品の見栄えや雰囲気をよくする効果があります。
ここではその使い方と効果を説明します。
トーンであるフィルムは表が印刷面、裏は粘着面になっていて、白い樹脂製の台紙に張り付けてあります。
この台紙から必要な分のフィルムをはがし、原稿に張り付けるのです。
トーンの中でも一番代表的なものが「網(アミ)」と呼ばれるトーンです。網トーンは一見、グレースケールのように見えますが、たくさんの小さなドット(点)が規則正しく並んで集まっているトーンです。
網にはいろいろな濃さがあります。
網トーンは髪や洋服に調子を付けたいとき、また影など表現したい部分にも使われます。
まずはこの基本になる「網トーン」をきちんと理解しましょう!
これはデジタルトーン使用の人も知っておくべき重要なことです。
網トーンはドットの集まりですが、やみくもに並んでいるわけではありません。きちんと規則正しく並んでいます。
左の網トーンを拡大してみましょう。
拡大してみるとこのように、45度の角度で規則正しく点が配置されていることがわかります。
このことは後で説明する「重ね張りのモアレ」や「トーンの削り作業」の際に理解しておくべきことなので、ちゃんと覚えておいてください。
同じ網トーンを何カ所かに貼る場合には、トーンがきちんと同じ方向(角度)になるように貼ります。
方向をバラバラに貼ってしまうと、同じトーンにもかかわらず、場所によってトーンの見え方の調子が違って見えてしまうからです。
左図は方向をバラバラに貼ってしまった悪い例です。
網トーンのフィルムの端には「60L20%」(「60/20%」のようにLの無い表記もあり)
などと数字や記号が記載されています。これはいったい何でしょう?
この意味についても一応知っておいて下さい。
まずLはラインの略で「総数」を意味します。
どいうことかというと「1インチ(2.54cm)の中に何個のドット(点)が存在するか」を示しています。
たとえば50Lなら50個、70Lなら70個の点が、約2.5cmのなかに並んでいるということになるわけです。
当然この数字が大きければ、決まったエリアの中の点の数が多く、ギュウギュウに、小さければ数は少なくスカスカになります。
つまりLはトーン内の点の密度(ドット数の多さ)を表している、と考えてください。 Lの数字が同じトーンどうしは点の数が全く同じです。それは点の配置も全く同じだということになります。
これに対して%の方は、トーンの濃さ(黒の割合)を示しています。100%なら真っ黒、0%なら真っ白ということになります(そんなトーンはありませんが)。
数字が大きければ黒が濃く、小さければ薄い感じのトーンになります。この「濃さ」とはドットの大きさで調整されています。
*注*トーンのメーカーによって「60L10%」ではなく、かんたんに「61」と表記される場合もあります。
この場合は10の位の数字がLを、1の位の数字が%を表しています(メーカーによる例外もあり)。
例えば「74」なら70L40%、「32」なら30L20%ということになります。
濃さなどは単純に見た目の判断で充分で、番号まで理解しなくてもいいだろうと思うかもしれませんが
同じトーンを使用する場合や、トーンの重ね張り(後ほど説明)の際には、知っていなければいけない知識でもあります。とくに重ね張りでは必ずLの数字が同じものでないと、モアレとよばれるムラが出来てしまいます。
これを機会に、しっかり覚えておきましょう。
では、左図のキャラクターの髪の毛にトーンを張るやり方を説明します。
まず、貼りたいトーン番号を選びます。 この場合は61(60L10%)にしました。
このトーンを台紙に付いたままの状態で絵の上に被せます。 (フィルムはまだ台紙から剥がさないで下さい)
重ねると、下の絵が透けて見えます。
絵を透かして見ながらカッターで、貼りたいエリアよりやや大きめに、フィルムだけをカットします。
力を入れすぎて下の台紙まで切ってしまわないように気を付けてください。
カットしたらフィルムを台紙から剥がします。
この時、フィルムの裏の粘着面にゴミや汚れが付かないように注意してください。
フィルムの裏にはあらかじめ、何度か貼ったり剥がしたりできる低粘着度の糊が付いています。剥がしたフィルムをキャラクターの貼りたい部分にそっと乗せ指で上から押し付けるようにして仮貼りします。
仮貼りしたら、絵からはみ出ている無駄な部分を左図のように切り取ります。
このときに注意!四角や丸など単純な形に貼るとき場合には、形通りにきれいにきっちり切り取ればいいのですが、このサンプルの場合のように、ジグザグになった複雑な形のときはこの線の通りに切り取るのではなくあえて単純な形で切り整えます(当然まだ、いらない部分が残りますが、その処理は次の工程で説明します)。
切り取ったらここでトーンをしっかり圧着して、きちんと貼り付けます。
まず、当て紙を用意します。
当て紙にはトーンフィルムの貼ってあった台紙が一番、適しているのですが、初心者の方はまだ、余分な台紙など持ち合わせていないと思います。その場合は普通のフリーペーパーを使います。
当て紙を、トーンを仮貼りしている絵の上に被せます。
普通のフリーペーパーなら、紙の下にある絵は透けて見えているはずです。
当て紙の上からトーンヘラなどを使って、トーンの部分を強くしっかりこすりつけ、トーンを圧着させます。これでトーンは簡単には剥がれなくなります。
当て紙をしないでトーンを直接に圧着しようとすると、貼ったトーンが破れたり、汚れたりします。必ず当て紙を使用するようにして下さい。
トーンヘラがなくても、硬く丸みを帯びた形のものがあれば代用できます。身近なものでカッターのお尻の部分、スプーン、瓶のふたなどが使えます。角のあるものでは台紙やトーンを傷つけてしまいます。必ず丸みのあるものを使ってください。
さてトーンを圧着したものの、まだ細かいところでトーンのハミ出た部分は残ったままです。この部分はどうするか。
ここは切り取るのではなく、「削り」というやり方で形を整えます。
要はトーンの柄(印刷)の部分を削り落としてしまうのです。
最初に説明したように、トーンの模様はフィルムの表側に印刷されています。その印刷部分をカッターを使って擦って落とせば、その部分の模様は消えてしまうわけです。
ただし、注意!カッターで擦るのは、あくまで表面の「印刷部分」です。強く擦り過ぎてフィルム自体を傷つけないようにして下さい!
カッターでトーンを削るときには左図のように、切るときとは刃の方向を逆に持ち、刃でなく刃のヘリを使います。
手首を使って手前に搔き取るように動かせば、印刷面をこそぎ落とせます。まずはやってみて下さい。
このようにハミ出た部分の印刷面をすっかり消すことが出来れば、出来上がりです。
次は雲や太陽の光を表現する、「網トーンの削りの応用」について説明します。
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