ネームとは何か~基本的な描き方について学ぶ~


ネームの創り方・基本編

①ネームとは何か

「ネーム」とはマンガ作品を描く上で、本当の原稿を描く前に、話の筋立てや画面構成などを具体的に絵に起こしてみる作業で、アニメで言う「絵コンテ」に当たります。

 

ネーム創りははマンガ創作の核にあたり、一番の肝になる作業です。

マンガ作家にとって、一番悩み苦しむ作業がこのネーム作業で、それ故に作家によってネーム創りのやり方は様々です。

 

はまのらま・サンプルネーム
はまのらま・サンプルネーム

 

さまざまな作家のネーム例

 

 *すべてのネームは荒木飛呂彦先生を除き『「マンガ脳の鍛え方」/集英社』を参照しています。

 

ただそれでも、ネームの基本的な描き方というものはあります。初心者はまず、その描き方を覚えましょう。

 

②基本的なネームの描き方

まず、ネーム用紙の使い方について説明しましょう。はまのマンガ倶楽部のネーム用紙(2パターン)はこちらです。

*はまのマンガ倶楽部のネーム用紙はこちらでダウンロードできます。

 

  

市販のネーム用紙などもいろいろありますが、基本的にはどれも同じです。

プロの作家などは特別にネーム用紙などを使わない人が多いと思います。私も100均のらくがき帳をずっと愛用しています

ネーム用紙の使い方は、原稿用紙の使い方にほぼ準じています

 

はまのマンガ倶楽部では、上のような1Pの用紙と2枚つづりのネーム用紙の、2種類のネーム用紙を用意していますが、当スクールとしては、2枚つづりのネーム用紙を推奨しています。

それには意味と理由があります。

 

「原稿用紙の使い方」でも触れていますが、本としてマンガを読む場合には、マンガのページは本を開いたときに、真ん中の閉じ部を境に右と左に分かれます。

マンガ作品は基本的に最初の1Pめが左から始まるので、以降、奇数ページは左、偶数ページは右になります。

 

ただし、右と左では原稿用紙の使い方が少し違っています

そこで、ネームの状態からそのことをちゃんと意識して絵コンテを組めるようになるためにも、2枚つづりのネーム用紙の使用を推奨しているわけです。

*詳しくは「原稿用紙の使い方」を参照

 

③具体的なネーム用紙の使い方は

④ネームの絵はどの程度、描き込むものなのか

ネームの絵はどの程度描き込めばいいのか。私としては、特にマンガ初心者がネームを描く場合には、

本原稿の下描きレベルほどではないにしろ、ある程度はきちんと描くことを勧めます。

 

枠線の間隔などは、ネームの場合にはただの線で区切って大丈夫です。

背景などはアタリ程度で構いませんがキャラに関しては髪型、性別、表情、動きなどある程度分かるようには、きちんと描き込むべきです。

また台詞であるネームの文字も、ある程度丁寧に描くべきです(上手な字でという意味ではありません。きちんと読めるような字でということです)。

これには、理由があります。

 

ネーム創りというのは、文章であるプロットや頭の中にあるイメージなどを、初めて具体的に「絵」に起こす作業です。

絵にするということは、今まで漠然としていたものが、誤魔化しようもなく、目の前に現れるわけです。 

だからこそ、自分の絵や表現を確かめるためにも、誤魔化さずにきちんと描く必要があるのです。

 

マンガ初心者の中には、何かの本でプロのネームを見て勘違いをする人がいます。

上で示したように、プロの中にはかなり大雑把で雑ともいえる線で、一見何を描いているのかわからないようなネームを描く人もいます。

「だから、自分もそんなネームでいいのだ」と思い違いをしてしまう。

 

大間違いです。

 

そういったネームというのは、長年の信頼関係でそんなネームでもちゃんと理解できる編集者に向けてだからこそ成立するものです。

また一方、そんな荒いネームでもきちんと自らのイメージを把握できる、経験と力量がある作家だからこそ成立するものです。

 

マンガ初心者のネームはまず、

「初めてそのネームを見る人が、そのネームだけで作品をきちんと理解できる」ことが前提になります。

持ち込みなどで初めての編集者と対峙するときのことを考えれば、ごく当たり前のことだと言えるでしょう。

なんだかわからないとか、字が読めないなどのネームは、根本的に間違っています。

見てくれる人に対しても失礼です。

 

もしそのネームが、多くの補足説明が必要だったり、作者注が必要なネームであるならば、そのネームは不完全だと考えるべきでしょう。

 

また初心者の中には

自分さえちゃんとわかっているなら、他人には読めないような、 わからないようなネームでもいいじゃないか。 本原稿の下描きに入るときは、きちんと描くんだからと考える人もいます。

これも大きな間違いです。

 

マンガ初心者が自分の頭にあるイメージを、そう簡単に具体的な絵に起こすことなど、最初から早々できるものではありません。

頭の中のイメージを絵にする作業は、プロでさえ難しい作業です

 

いい加減なネームを描くということは、ほとんどの場合、自分自身を誤魔化しているにすぎません。

画面の構成、コマのレイアウト、各々のキャラの立ち位置、具体的な表情(例えば「怒る」という表情一つ取っても、感情を爆発させている場合、感情を抑えてる場合、無表情で冷たく怒っている場合など様々なのです)、

実際に描いてみなければ、自分で確認、検証ができないのです。

 

だからこそ人に見せるためはもちろんですが、自分にフィードバックさせるためにも、ネームは、できるだけきちんと描くことが大事なのです。

 

ラフなネームを描きたければ、それは一人前以上のプロになってからにして下さい。 

 

⑤ネーム時でもキャラには名前を付けておく

ネームのときには、まだキャラクターに名前がついていなくて、「主」「副」とか「A」「B」とかにしている人がいますが、多少無理をしても仮でいいので、キャラクターには名前を付けておくことを勧めます。

 

「主」「副」や「A」「B」などではキャラクターは記号になってしまい、それでは作者の中でも具体的なイメージを持ちにくくなります。

そうなるとネームの中でキャラクターが生き生きと上手く動いてくれない。

記号では「こういうシュチュエーションではこのキャラクターはこう動く」のかなどの、妄想や想像がしにくくなります。

 

気に入らない名前なら、あとで変えたってかまわないんです。ただ、名前がないのは良くない

そういった意味で、たとえネーム時でも、仮でもいいから名前を付けておいてください